2023年08月15日

私と「ひふみ造形室」

こんにちは


「ひふみ造形室」を始めたとき(6年ほど前)の目標と
今考えている事は、随分と違ってきていると感じる事が増えたため
ここにツラツラとまとめてみようと思う。


■3Dモデリング&3Dプリンター、ZBrush

ZBrushを使用してモデルを作成し、3Dプリンターで商品を作る。
これを始めたのは、私は、かなり早い方だったんじゃないかと思う。

私がZBrushを始めた当時、
3Dプリンターは、光造形Form2の60万位が「ずいぶんコスパのいい機種が出た」
という世間の反応(私も)だったので(7〜8年位前?)
お財布事情的に、とても自宅に購入できなかったのと、
もう少し待てば、10万以下でコスパの良い機種を手に入れる事も
出来そうだ、という予感もあったと思う。

とにかく始めた当時は自分でプリンターは持たず、
作ったデータはとにかくDMMで出力していった。

当時講座をさせて頂いたYOKOITOさんでは
データを送っては無料で、出力していただいていた。
今自宅で光造形の出力に苦労している事を思えば、随分厚かましいお願いではあったと思うが
当時は、電子レンジで食品が温まるように、
出力自体に技術や苦労は要らないもの、と考えていた。

「なぜ皆これを始めないのだろう?こんなに楽しいし、可能性があるのに、不思議だ」

この1点の動機で、
随分エネルギッシュに、実績も何もない所から
色々と頑張ったものだと思う。

それから随分苦労はしたけれど、
見渡してみれば、ワンフェスでも3Dモデリング派はどんどん増えて
過半数を超えてるんじゃ?という雰囲気だし、
コスパの良い機種、良いレジンが色々と出て、
3Dプリンター出力品を商品に出来るようになってきた。
(販売個数分3Dプリンターで出力する、
後処理を考えても、原型を型で複製するよりそっちの方が効率的になる、という程までの
積層痕の目立たなさと、出力物の強靭さ、等)

ということで、始めたての動機はもう消滅してしまったが
「こんなに可能性があるのに、楽しいのに、なぜ?」という気持ちは、
私が寄与する所は微々たるものではあったけれど、報われたことになる。

3Dモデリングと3Dプリンターの可能性については、
「フィギュアの分野でかなり活用可能性があるのでは?」と感じたからこその
ZBrushの勉強と、ワンフェス参加、フィギュア業界への参入だった。

フィギュア業界ではもう充分価値は認められているけれど、
他の分野での活用可能性はないだろうか?
あるとしたらそれば何の分野?
そういう所に今は興味がある。


■ワンフェス

これも、
「私はこれを3Dモデリングと3Dプリンターで作ってまーす!どうですか?」というのを
披露したい気持ちがあって始めた事だったけれど
途中からは意味が変わってきたと思う。

そもそもお客様にとっては、型複製であろうが出力品であろうが、
正しく組めて、塗装しやすく、気に入った商品ならば
商品が作られたプロセスはあまり関係がない。

3Dモデリングと3Dプリンターのものづくり、というのを前面に押して
自分をアピールするなら、技術展とか、もっと別のイベントに出たら良かったけれど
ワンフェスは、別の意味でアピールしたいものがあって、毎回チャレンジしていた。

それは、「女の子」「女の子フィギュア」「人形」に対して
あまりにも幼稚な、従順な、都合の良い、そして女の私から見ればダサい
ものが量産されている状況があって、
それに対して「キモい」「適切でない」「男が作った手前勝手な造形」など否定の姿勢でもって対峙することもできるけれど
それでは「糞フェミ」等と罵られるばかりだし、
否定、毛嫌いする姿勢だけではなくて、
「では私が良いと思うもの」を一生懸命作ってアピールすることで
対抗しよう、という気持ちがあったからで、
それを表現するのには、自分が小学生の頃に夢中になった
セーラームーンの力を借りる必要があった。

この気持ちは強くなっていく一方で
「でもワンフェスでなくても良いのでは?」
「ワンフェス以外での、その気持ちの表現の方法は?」という自分の中の声も
強くなっているように思う。

セーラームーン、等の版権物は、こういったイベントでないと
販売不可能なもので、それは出来る限り頑張りたいけれど、
なんというか…ワンフェス、が
転売、買付の場と化していってる感じもあり、
オリジナルのものが増えて、
ハンドメイドイベント、の意味合いが増えていっているのもあり、
当初の(私もはじめの方は知らないが)ワンフェスとは随分違っているように思う。

私の考え方としては
「ここでしか生まれないものが生める場所がワンフェス」
「今日この日だけは、大好きな版権物キャラクターを売ることができるワンフェス」なので
商品の、気泡やちょっとした欠け、説明不足
それらはオールオッケーなのである。

もちろん、買っていただいた人には
正しく作ってもらいたいし、作りにくかったという声を頂いたら
それが何故か、どうやったら次回改善できるかは一生懸命考える。

でも、作りやすさ、親切さを重視するあまり
2キャラ作れたところが1キャラになってしまったとすれば
そちらの方を「損失」とする考え方である。

でももうこの考え方はもう古い。
自分でパテで気泡を埋めて、真鍮線で軸を入れて
サフ吹いて、塗装して…というお客様が、若い人の中にどれ位いるだろうか?

ガレージキットを組み立てて塗装して完成させる…
この根気の必要な、でも楽しい、作業を
楽しんでいる人口が細っているように感じられる中
いつまで自分の作品は売れるだろうか…?

簡単にいうと
「この状況で、版権物ガレキに、いつまで拘る?」という声が大きくなってきていて、
「いや、自分のクオリティが向上すれば、問題にはならない事でしょ?」という声が
ぶつかってうるさいけれど
とりあえずは、後者の方の声を重視して、次の作業は向かいたいと思う。


■ものづくり、環境、次の世代

無駄なものをたくさん作ってきて
こんな事を言うのはおこがましい、という気もあるけれど
「環境」「次の世代」
というキーワードがないと
自分の活動に熱を持たせ続けることは出来ないのではないか、という気がしている。

何人かの生徒がいる。
大学でも教えている。

彼ら彼女らが、どうなったら先生としてはうれしいのだろうか?
売れっ子の原型師になったらうれしいのだろうか?
300円ガチャの商品の中に、「原型:●●」という名前が載っていたら?それが達成?

というよりも
そうではなくて

…では何?

というのを、考えていきたいと思う。

















posted by ひふみ at 15:10| Comment(0) | 日記
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